
私たちが生み出す
「新しいアイデア」と聞いて
思い浮かべるのは
何か革新的で斬新な
今でに無いモノ、つまり
0(ゼロ)から生み出すモノと
思われるかもしれません。
しかし、実際に優れたアイデアが
どのように生まれるのかを見てみると
そこには意外な共通点があります。
それは「偶発的な融合」
つまり、まったく異なるもの同士が
思わぬ形で結びついた瞬間に
新たな創造が生まれているということです。
アイデアとは「組み合わせ」である

まず、頭の中に入れておかなければ
いけないことは
新しいアイデアというものは
完全なゼロから生まれる
ものではないということです。
古今東西のクリエイターや
発明家の人たちの言葉にも
”アイデアとは既存の要素の
新しい組み合わせである”
と繰り返し語られてきました。
たとえば、スマートフォンも
「電話」「タブレットパソコン」
「ミュージックプレイヤー」
「タッチパネル」「アプリ」という
既存の技術や概念が融合して
出来上がったものです。
これらの要素は
個々に存在していたものを
融合させて偶然的に組み合わさり
新しい価値が生まれたのです。
偶発性がカギを握る

では、なぜこのような融合が
つくり出されるのでしょうか。
そこには
「偶発性(セレンディピティ)」が
大きく関与しています。
意図的に設計されたわけではなく
異なる分野の思考や視点が
思わぬ形で出会うことによって
新しい視座や着想が生まれるのです。
たとえば、ペニシリンの発見も
有名な偶発的融合の一例です。
アレクサンダー・フレミングが
実験室を整理していた際に
カビが細菌を殺していることを
偶然発見したのです。
これは、微生物学と日常的な
「失敗」が思わぬ形で融合した
結果のひとつです。
異分野との接点に創造のヒントがある

現代においては
多様性が評判され
多様な分野や思考が
交差する時代になっています。
科学と芸術、テクノロジーと人文
ビジネスと哲学など。
さまざまな分野の組み合わせは
無限大にあります。
こうした「交差点」こそが
イノベーションの温床になっています。
たとえば、人工知能とアートの
融合により生まれる「AIアート」は
人間と機械が共創するという
新しい芸術表現を切り開いています。
AIの計算能力と人間の直感的な創造力が
偶発的に融合することによって
今までにない美的表現の可能性が
広がっている証です。
偶然を歓迎する心構え

しかし、偶発的な融合は
ただ待っていても
起こるものではありません。
そこには「偶然を歓迎する心構え」
が必要です。
つまり、自分の興味や関心などを
超えた専門外のことなどにお
幅費利興味を持ち
常に新しい視点を受け入れようとすると
可能性が、どんどん広がっていきます。
たとえば、幅広い分野の読書の多読や
いろんな企業で活躍する人との
異業種交流に参加してみたり
旅などの異文化体験などは
自分の中に「異質な要素」を
取り入れるチャンスです。
そして、そうした要素同士が
ある日ふとした瞬間に結びつき
今までになかった新しい発想が
生まれるのです。
創造性を育てる環境とは?

新しいアイデアの創造には
環境もすごく重要な要素です。
組織や教育の場においても
この偶発的融合を促す工夫は重要です。
たとえば、アメリカのでは
創造性を重視する企業は
それを生み出す環境にも
力を入れています。
異なる部署の人々が自由に会話できる場や
偶然の出会いを促すオフィス設計や
散歩が脳の働きや、新しいアイデアの
発想に影響を与えるために
企業の敷地内に散歩道を作ったり
意図的に取り入れられています。
また、教育現場においても
「STEAM教育(科学・技術・工学・アート・数学)」
のように、異なる分野を横断的に
学ばせる試みが広がっています。
これは、子どもたちが将来
より多様な要素を結びつけられるような
創造性を身につけるためのフィールドです。
「不完全さ」がアイデアを生む

偶発的な融合が起こる
もう一つの重要な要素は
「不完全さ」や「曖昧さ」です。
すべてが計画通りに
いっている場合には
新しい組み合わせが
生まれる余地がありません。
でも、なにかしらの
問題や課題がある方が
現状を克服するための
軌道修正が必要となるため
矛盾や誤解、未整理な
アイデアがあることが
生み出すきっかけになるのです。
日本の伝統美にも通じる
”不完全の美(わび・さび)”
といった価値観は
この偶発性の力を直感的に
理解していたとも言えます。
完璧ではないからこそ
そこに余白があり
他の要素と溶け合うスペースが
生れるのです。
自分の中に「異質」をとり入れる

もしあなたが新しいアイデアを
生み出したいと思うなら、
分の日常に「異質な要素」を
自ら進んで積極的に
取り入れてみてください。
普段は読まないジャンルの本を読んだり
異なる業界の人と話してみるたり
趣味を変えてみる。
それだけで、あなたの中に
新しい組み合わせの“種類”が
増えていきます。
重要なのは、インプットしたものを
頭の中にしまい込まないことです。
偶発的な融合は、知識や情報の
管理ではなくカオスの中から
生まれるものだからです。
創造性は「偶然の出会い」から生まれる

私たちが求めている
新しいアイデアは
その本質は、「計画」よりも
「偶然」に宿っています。
そして、その偶然を
ただ待つのではなく
自ら「偶発的な融合」が
起こりやすい環境を
つくっていくことができます。
真に創造的な人生や仕事に
つながっていくのです。
異なるものが出会いが混ざり合い
思わぬ形で結びついたときに
次の時代を切り拓く
ヒントが眠っているものです。
成功アンバサダー都碧(とあ)